「深い絆で結ばれている」という言葉をよく聞きますが、正しい表現なのでしょうか?
深い絆と強い絆、正しいのは?
全日本実業団駅伝大会で3年連続優勝を逃した堀北自動車。
体調を崩して休んでいた市川さんは先週から練習に参加しています。しかし、稲村監督は…
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「監督、今日の練習は?」
「今日も同じだ。まずはグランドを1周。後は好きにやれ。」
「先週からずっと同じですよ。他に指導はないのですか?」
「自己管理の出来ていないやつは論外だ。まずはそこからだろ?」
「自己管理ならちゃんと…」
「『自己管理が甘かった』と報道陣の前で言っていたのはお前だろ?」
「あれは監督に…」
「『言わされた』とでも言うつもりか?俺はそう言った方がお前のためだとアドバイスしただけだぞ。」
「でも、実際に監督の指示通りに走り込んで、その結果…」
「俺のせいでオーバーワークになったと言いたいのか?」
「………」
「そんなことだからお前は駄目なんだ。自分がどれだけチームに迷惑をかけたのか、もう忘れたのか?」
「そうだとしても、冷たすぎませんか?」
「何?」
「監督と部員は、もっと深い絆でつながっているべきだと思いませんか?」
「それ、本気で言っているのか?」
「当然ですよ!」
「笑わせてくれるなぁ。」
「何故ですか?」
「『深い絆』って何だよ?『強い絆』ならわかるけどな。ハハハハハ!」
「う…」
市川さんは少し体調が悪くなりました。
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絆の本来の意味は?
「絆」は「人と人とを結びつけるもの」という意味で使われています。
「深い絆」、「絆が深まる」という言葉をよく耳にしますが、ちょっとおかしいんですよね。
「絆」の本来の意味は「動物をつなぎとめるための綱」です。
橋に深いも浅いもないように、綱にも深い浅いはありません。正しくは「強い絆、固い絆」等と言うべきでしょう。
しかし、「絆が深まるは間違いではない」とする説も少なくないです。
ひとつは、「絆」を「信頼関係」と捉えれば「深い」と形容してもおかしくはないという考え方です。
全否定はしませんが、私は違和感があります。
「絆」は「見ることも触ることもできないが、確かにそこにある、人と人とを結びつけている綱」です。
「信頼関係」よりもずっと強い、固い結びつきです。やはり「深い」では不適切(弱い)です。
「絆が深い」と言っている方々は特に深い考えがあるわけではなく、「絆、カッコイイ!」と思っているだけではないでしょうか?
だから「深い」と形容しても違和感なく使えているのです。
「辞書に用例がある」という意見もありますが、辞書の編集者が誤用しているだけでしょう。
「多くの人が使っているからOK」というのは論外。
それに、「誤用だ!」と言うのは簡単ですが、「誤用ではない!」と反論するのは面倒です。
なら最初から「絆が強まる」と言った方が楽ですね。
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