「押しも押されぬ大スター」等という言葉をしばしば耳にしますが、正しい言い方なのでしょうか?

押しも押されぬ?押しも押されもせぬ?

西條高校野球部では、同じ地区のライバル校を招いて練習試合が行われました。

工藤君は自分のピッチングよりも後輩の清田君のことが気になるようです。

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「惜しかったな。」

「もう少しでホームランだったんですけどね。まぁ、俺だからあそこまで…」

「無理に狙うところじゃないだろ。」

「はあ?」

「1点が欲しかったんだ。ランナーは3塁にいたんだから、もっとコンパクトに…」

「小さいねぇ。」

「何?」

「そんなのは他の人の仕事でしょ、俺は4番なんだから大きいのを打たないとね。」

「状況を考えろと言っているんだ。大体お前は…」

「チェンジですよ、さっさと守備につかないと…」

「………」

試合は投手戦となりましたが、9回裏に清田君がソロホームランを放ち、3対2で西條高校の勝利となりました。

「見ましたか?俺の特大ホームラン。見事でしょ?」

「ああ、凄いよ。流石だな。」

「まぁ、当然かな。」

「でも、もう少しでファールだったぞ。お前なら多少力を抜いてもホームランに出来るんだから、もっと…」

「ゴチャゴチャうるせーな。何なら4番を代わりましょうか?」

「………」

「俺は押しも押されぬ4番打者だってことを忘れないで下さいね、先輩。」

「清田…」

「何だよ?」

工藤君は前回同様、清田君に優しく教えてあげました。

「………ふん、こまけぇこたぁいいんだよ!誰のおかげで勝てたと思ってるんだ?」

そう言って、清田君は去っていきました。

「自分一人の力で勝ったつもりか?本当に困った奴だな…」

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正しいのはどちら?

「実力があり、他人に左右されず、堂々としている様子。」を「押しも押されもせぬ」と言います。

これを「押しも押されぬ」と言ってしまう方が非常に多いです。

「押しもせぬ、押されもせぬ」なわけですから、片側だけ「も抜け」にすることは出来ません(「押す」にはあまり意味がありません)。

また、「押されぬ」だと「押すことが出来ない」という意味にもなってしまいます。

「押されぬ」を含む慣用句には「押すに押されぬ」があり、「押しも押されぬ」はこれと混同された言葉だと考えられています(単に言い易かっただけかもしれませんが)。

「押すに押されぬ」は「どうしようもない状況」という意味です(押そうとしても押せない)。

「押しも押されもせぬ」と同じ意味だと書かれているところもありますが、「何を言っているんですか?」と言いたいです。

「押すに押されぬ大スター」では「大迷惑なスター」になってしまいますよ?

ちょっと紛らわしいですが、大事なことなので押さえておきましょう。

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