「なし崩し」という言葉を使っていますか?それはどんな時ですか?

なし崩しとは徐々にだめにすること?

長瀬さんは、自宅に帰る途中で後輩の小泉さんをみかけました。

普段から無愛想な彼女ですが、その日は特に不機嫌そうだったので、声をかけてみました。

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「小泉さん。」

「………長瀬さんですか、こんばんは。」

「あまり元気がなさそうですね、何かありましたか?」

「デビュー曲ですよ。」

「デビュー曲?」

「なかなか決まらないんです。」

「選ぶのに慎重になっているんじゃないですか?」

「提案ならされました。」

「え?」

「『私のイメージに合わない』と言ったら、『別の曲を考えておきます』と言われたんです。」

「それで?」

「次の曲も断ったら、以降は『検討中』の一点張りです。」

「………」

「本当に私をデビューさせる気があるのでしょうか?」

「いや、それはですね、小泉さんの態…」

「早い段階でプロデビューさせるというお話だったのに、このままなし崩しにするつもりなんじゃないかと疑っているところですよ。」

「違いますよ。なし…」

「何故違うと言い切れるんですか?」

「落ち着いて下さい。なし崩しに説明を…」

「もう結構です!」

小泉さんは怒って帰ってしまいました。

「困ったな。自分の仕事じゃないけど放ってもおけないし…」

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なし崩しの正しい意味は?

「なし崩し」は「済し崩し」と書きます。

本来は「借金を少しずつ返済する」という意味で、「借金をなし崩しにして返す」等と使います。

転じて、「物事を少しずつ済ますこと」の意味も持つようになりました。

「なし」は「済(な)す」、「崩し」は「少しずつ」という意味で、悪い意味合いは全くありません。

しかし、「済し」を「無し」のことだと勘違いしたり、「崩す」に悪いイメージを抱いたりして、「徐々にだめにする」のような間違った使い方をされることが多いです。

情けないことに、新聞でも誤用されることが少なくありません(うろ覚えですが、「治外法権なし崩し」という見出しを見た記憶があります。)。

多くは「なし崩しに○○する」と使い、「○○をなし崩しにする」とは言わないのです(借金を除く)。

この言葉の厄介な点は、誤用されているのかどうか判断が難しい場合があるということです(「うやむやに」と置き換えても意味が通じる場合等)。

もっとも、正しい意味を知っている人ならば「少しずつ・段階的に」と表現する可能性が高いので、「なし崩し」が使われる場合は誤用がほとんどでしょうね。

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