何をするにしても調度良い時期というものがありますよね。そういうのを何というのでしたっけ?

時機にかなう?時宜にかなう?

綾花さんは美咲さんの考えを理解しつつも、不満を募らせています。

涼子さんはそんな綾花さんにある提案をしました。

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「………」

「でも、美咲さんの考えは分かっているつもりです。」

「そうなの?」

「私たちの為を想って厳しくしているんだと思います。だからそれに応えなきゃって、がんばってるんですけどね…」

「綾花さんは本当にお花のようね。」

「え?」

「美咲さんの苦言を水のように受け入れ、健気に美しく咲く花。素敵よ。」

「そ、そんな…照れますよ。」

「でも、そんな綾花さんが心配でならないの。」

「何故ですか?」

「美咲さんの方針が正しいとは限らないでしょ。」

「………」

「言葉は悪いけど、美咲さんは型にはめようとする所があるから。」

「………確かに。」

「もし、独り善がりな指導で綾花さんの個性が奪われてしまったら、本来の美しさが損なわれ、どこにでも咲いているような味気ない花になってしまう危険性があるのよ。」

「私はどうすれば…」

「環境を変えてみるのも悪くないと思うわ。」

「え?」

「これを見て…」

涼子さんは綾花さんに一枚のメモを渡しました。

「SCAMコーポレーション?」

「最近出来たばかりの芸能事務所で、アイドル志望の子を探してるんだって。私の知り合いがスカウトされて、気に入ったから協力しているらしいの。」

「どんな所なんでしょうか?」

「分からないわ。でも、もし私がアイドルになれていなかったら迷わず挑戦してると思うな。」

「………」

「もちろん、決めるのは綾花さんよ。上手く行くとは限らないしね。」

「私、行ってみようと思います。」

「そう?」

「今の美咲さんのやり方に不満を抱いていたところですし、私にはもう十分な実績がありますから、時機にかなっていると思うんです。」

「………そうね、がんばって(時宜だと思うけどね。)」

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時機と時宜の違いは?

「時機(じき)」とは「あることをするのに適した時」という意味で、簡単に言えば「チャンス」です。

「時宜(じぎ)」とは「調度良い頃合い」という意味です。

似たような意味なので分かりにくいかもしれませんが、両者は微妙に違います。

「時機」は「自分(たち)以外の状況」が調度良い時ということです。

チャンスは巡ってくるものですから(何もしなくて良いという意味ではなく)、「時機が到来する」、「時機を失う」等と使います。

「時宜」は「自分(たち)の状況」が調度良い時ということです。

「宜」は「状態が良い」という意味ですから、時宜で「状態が良い時」となります。

「かなう」は「適合する」という意味で、「時宜にかなう」で「調度良い頃合いに適合する」となります。

「時機にかなう」だと、「チャンスに適合する」となり、重言のようでちょっと変です。

時宜は「時宜を得た処置」という使い方もします。こちらも覚えておきましょう。

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