「一部店舗での閉店時間延長のお知らせ」等と書かれているのをたまに見かけますが、日本語として正しいのでしょうか?

閉店時間を延長?営業時間を延長?

大手洋服店「黒華」に就職した水原さん。本社での研修を終え、今日からは文京支店で勤務することになります。

そこは有原君と激しい心理戦を行った八神さんが勤務している店です。

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「今日からこちらでお世話になります、水原と申します。至らない点も多々あるかと存じますが、ご指導の程よろしくお願いします。」

「売り場担当の八神です。今日からよろしく頼むよ。」

「はい。」

「ウチで働く上では、まず言葉遣いに気をつけて欲しい。」

「はい。」

「他の店ではお求めやすい価格と言っている店員がいるが、正しくは『お求めになりやすい価格』だからね、気を付けるように。」

「はい(きちんとしている先輩みたいで良かった)」

しかし、八神さんは有原君への復讐が成功した(と勘違いした)ことに満足し、その後の勉強は怠っていました。

そして、閉店時間になると…

「お疲れ様でした、水原さん。」

「はい。お疲れ様です、先輩。」

「あ、そうそう。来週からゴールデンウィークが始まるよね。」

「はい。」

「それに合わせて来週1週間は閉店時間を1時間延長することになっているからそのつもりでね。」

「閉店時間を………」

「ん?どうかしましたか?」

「い、いえ。何でもありません(先輩だし、初日だし。)」

「気になるじゃないか。言ってごらんよ。」

「は、はい。あのですね、営業時間を延長するじゃないかなと思いまして…」

「………あ、そうそう、そうだよね。ちょっと言い間違えた。よく気が付いたね。」

「いえ…」

言い間違えでなかったのは、八神さんの表情を見れば明らかでした。

そして、数秒後に八神さんの舌打ちが聞こえた水原さんは、少し不安になりました。

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正しい言い方は?

「閉店時間を延長」はよく耳にする言い方ですが、誤りです。

言うまでもないことですが、「時間」の意味には「時刻」と「時の量」があります。

「閉店時間」というのは「時刻」であり、「長さ」の概念はありません。よって、延長することは出来ないのです(短縮も)。

例えば閉店時間を20時から21時にしたい場合は、「閉店時間を変更する」等と言う必要があります。

それに対して「営業時間」は「営業している時間」ですから、「○時から○時まで」のように(時刻と時の量で)表します。

こちらは量を増やす(時間を延ばす)ことが出来るので、「営業時間を延長する」と言うことが出来ます。

「営業時間」の場合は「変更」も使えるので、言い間違いを回避したいのなら「営業時間を…」と言う癖を付けておくと良いでしょう。

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