「渾身の一撃!」等の言葉をよく耳にしますが、渾身ってどういう意味でしたっけ?

渾身とは最高、全力という意味?

沙弥花さんが教室に入ると、多喜恵さんが嬉しそうな顔でスマホを見ていました。

何か良いことがあったのでしょうか?

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「タキちゃん。」

「ああ、おはようサヤ。」

「嬉しそうな顔してるけど、何かあったの?」

「たいしたことじゃないけどね、なかなか良い自撮り写真が撮れたんだ。」

「ふーん。」

「サヤも撮ってるでしょ?」

「まぁ、人並にね。」

「見せてよ。」

「え?」

「いいでしょ。」

「いやぁ、ちょっと恥ずかしいよ。」

「何で?」

「まだ整理してなくて、映りが悪いのが混ざってるからね。」

「なら、渾身の一枚だけでいいからさ。」

「渾身の?じゃあ、これかな。」

「ええ、これ?」

「なにか変?」

「変じゃないけど、顔が小さくしか映ってないじゃん。」

「だって、渾身…」

「よし、私の渾身の一枚を見せてあげよう。」

「う、うん。」

それは、多喜恵さんの可愛らしい顔のアップでした。

「………」

「ね、いいでしょ。コレ。」

「うん、とても上手く撮れてると思うよ。」

あの時と同様、教えるべきかどうか迷う沙弥花さんでした。

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渾身の一撃って何?

「渾身」とは「全身」という意味です(「渾」は「全て」の意)。

「渾身の力」という使い方が一般的ですね(むしろ、これ以外知らない。)

「渾身の力」は「全身の力」なわけですが、これを何か「物凄い力」のことだと勘違いして、

「渾身の一撃」、「渾身の一句(○レバト)」、「渾身のストレート」、「渾身のガッツポーズ」等と言ってしまう方が非常に多いです。

「渾身の一撃」は特によく聞きますが、「体当たり」のことでしょうか?それもちょっと違う気がしますが。

「渾身のガッツポーズ」は「上半身だけじゃない!」という意味に取れなくもないですが、勘違いですよね?

(良い意味で)かなり笑えるレベルの誤用ですが、別に恥ずかしい間違いではありません。

有名な現代文講師でさえ「渾身のボケ」という言葉を使ってしまうくらいですからね(笑)。

また、今年の冬季オリンピックのフィギュアスケートでは「渾身の演技」という言葉を聞きました。

たしかに全身を使っての演技ですので間違いではないですが、「じゃあ、渾身じゃない演技って何?」という事になってしまいます。

「渾身の一枚」は数ヶ月前にテレビで目撃した誤用で、とある俳優に似ているという方の顔写真です。こちらは言い訳の余地が皆無ですね。

ちなみに、某ゲームには「渾身」というスキルがあり、それを使うと「会心率」が上がるそうです。

全身」というスキルがどう「会心」につながるのでしょうか?実に分かりやすい誤用です。

そもそも、この「会心」も誤用と思われますが、それについては別の記事で書きますね。

「渾身」ってちょっと格好良いので、使ってみたくなるのは分かりますが、「全身」と言い換えられる場合のみに留めておきましょう。

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