テレビを見ていると度々「笑顔がこぼれた」という表現を耳にします。何かおかしくないですか?

笑顔がこぼれる?笑みがこぼれる?

中堅芸能事務所「ヘブンズコール」に所属する人気男性アイドルグループ「シャイニング」。

最近は人気が下落傾向にあり、マネージャーの森田さんはリーダーの諸星さんにその原因があると考えているようです。

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「話って何ですか?何で僕だけ?」

「他のメンバーの前では言いづらいことだからね。」

「?」

「実は、君一人だけニヤニヤし過ぎという意見が多数寄せられているんだ。『シャイニング』は『クールキャラ』を売りにしたアイドルグループだからね。」

「僕は当初から今みたいな感じでやってましたが?それでも人気があったじゃないですか。」

「以前はね。しかしその後、大手芸能事務所の『ミークストーム』にあっさりと真似をされた。」

「『フューチャー』でしたっけ?長瀬君たちの。」

「そう。クールさでは確実に向こうが上。彼らの登場で君の表情が目立ち始めたんだよ。」

「笑っちゃダメなんですか?」

「そうではない。ただ、作り笑いじゃなくて自然に笑顔がこぼれる感じでやって欲しいな。」

「笑顔がこぼれる…」

「明日出演するトークバラエティ番組が勝負だ。頼むよ。」

「………はい。」

そして当日。諸星さんは何とも言えない不思議な表情で他の出演者や視聴者を凍りつかせました。

「………(笑顔がこぼれるってこんな感じかな?辞書には載ってなかった…)」

「くそ、あいつのせいで台無しだ!」

森田さんは責任の一端が自分にあることに気が付いていませんでした。

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正しい言い方は?

「こぼれる」とは「あふれ出る」ということです。何からかというと、顔ですね。

何もこぼれていない状態(無表情)から笑みがこぼれる(あふれ出る)と笑顔になるというわけです。

正しくは「笑みがこぼれる」なのです。

しかし、冒頭に書いたように「笑顔がこぼれる」という表現を聞くことが少なくありません。

アナウンサーが「笑顔がこぼれました」と叫ぶ度に(悪い意味で)笑みがこぼれてしまう自分がいます。

顔がこぼれ落ちたら大変です。とても放送できる状況ではありませんよね。

似たような表現として「笑みを浮かべる」がありますが、同様に「笑顔を浮かべる」とはなりません。

「顔」は誰しも最初からありますから、こぼれたり浮かべたりすることはあり得ないのです。

「笑顔」と「笑み」は使い分けましょう。

細かいことかもしれませんが、言葉のプロなら間違えないで欲しいですね。

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