「立つ鳥跡を濁さず」ということわざは有名ですね。「飛ぶ鳥跡を濁さず」もありますが、それは正しいのでしょうか?

立つ鳥跡を濁さず?飛ぶ鳥跡を濁さず?

長らく、カフェ「エルドリック」でアルバイトをしてきた水原さんですが、それも今日で最後です。

やり残したことは?後輩である北条さんに伝えるべきことは?色々な思いが彼女の頭の中を駆け巡りました。

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「何をしているんですか、先輩?」

「ちょっと気になる汚れがあったからね。」

「確か、先輩は今日まででしたね。」

「ええ。」

「内定先はどこでしたっけ?」

「黒華よ。」

「ああ、あの大手の洋服店ですか。流石(文京大)ですね。」

「もうすぐ社会人になると思うと緊張するわね。」

「でも、いい店ですよね。友達も絶賛してましたし。」

「そうなの?」

「はい、品質もいいけど、接客も良いって。」

「そう、私もそう言われるようにならなきゃね。」

「そう言えばその子、素敵な彼氏が出来たって喜んでましたよ。」

「それは良かったわね。どんな人なの?」

「間違いを間違いとハッキリ言える人なんですって。カッコイイですよね。ああ、最近ウチに一緒に食事に来たらしいんですけど。」

「………」

「どうかしましたか?」

「ううん、何でもないの。片付けを進めないと…」

「『飛ぶ鳥跡を濁さず』ですね。実は私、先輩のそういう所を他山の石として見習っていたんですよ。」

「………北条さん。」

「何ですか?」

「実は北条さんに謝らないといけないことがあるの。聞いてくれる?」

「?」

北条さんはわかってくれたようでした。

そして、水原さんは気持ち良くエルドリックを後にしました。

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正しいのはどちら?

「立つ鳥跡を濁さず」とは、「立ち去る者は、あとが見苦しくないようにすべきである。」ということ………なのは、多くの方がご存じでしょう。

問題なのは「飛ぶ鳥跡を濁さず」の方ですね。

『「飛ぶ」が「飛び立つ」を意味しているのならば間違いではない』とされていますが、私は違うと思います。

「飛び立つ」を縮めた言葉が「立つ」なのです。「飛ぶ」とするのには違和感があります。大事なのは「立つ」の方なんです。

「立つ」には「そこから立ち去る」という意味があります。もっと言うと、大事なのは「去る」なわけですね。

人間が空を飛ぶわけがないので、「立つ(去る)時」が重要だということです。

それに対して「飛ぶ」には「立ち去る」という意味はなく、「飛び立つ」もありません。「飛び立つ」で重点が置かれているのは「立つ」の方だからです。

そもそも「飛ぶ鳥跡を濁さず」は「飛ぶ鳥を落とす勢い」との混同から生まれた言葉でしょう。

間違いを無理矢理正当化するのは好きではありませんね。

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