「職人によるこだわりの逸品」等という言葉をよく聞きますが、どんな逸品でしょうか?

こだわるのは良い事?

ミークストームの小泉さんは歌手デビューに向けて毎日一所懸命に練習しています。

練習を終えてカラオケハウスを出ようとしたところ、事務所の先輩である長瀬さんに会いました。

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「こんばんは。」

「こんばんは、小泉さん。よくここで練習しているんですか?」

「はい、ここは設備が充実しているので最適なんです。」

「がんばっていますね。調子はどうですか?」

「そこそこですね。今はビブラート(声を伸ばす箇所等で用いる、声を揺らすテクニック)を重点的に磨いています。」

「なるほど、ビブラートですか。」

「私が特にこだわっていることですからね。」

「こだわっているんですか?」

「ええ。長瀬さんのこだわりは何ですか?」

「僕は特に無いかなぁ。」

「何もないんですか?」

「ええ。」

「失礼を承知で申し上げますが、プロとしてそれでいいのでしょうか?」

「え?」

「たしか『フューチャー』はクールさが売りのアイドルグループですよね?でしたら、どうしたらよりカッコ良く見られるかを気にするべきじゃないのですか?」

「………」

「こだわりのない人がやっていけるほど甘い世界じゃないと思いますよ。では、私はこれで失礼します。」

そう言って、小泉さんは去っていきました。

「………こだわっている事は無いよなぁ。心がけていることはあるんだけど。」

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こだわるの正しい意味と漢字は?

日本人は「こだわる」という言葉が大好きです。CM等で頻繁に使われていますが、正しい意味をご存じでしょうか?

小さなことに心がとらわれる。拘泥する。執着する。」という意味です。

「自分にとっては大事なことだけど、他人から見ればくだらないことに必死になっている」ということです。

「勝利への執着心」という言葉がありますが、実は「執着」も良い言葉ではありません。

「こだわる」と同様、「必要以上につまらないことに心が奪われる」という意味です。

そもそも勝負事は勝ちに行くのが普通ですから「勝ちにこだわる」は変なわけです。

「何でそんなことにこだわるんだ?」、「そんなことにこだわるな!」が「こだわる」の正しい使い方です。

では、何と言えば良いのか?難しいですね。

手を抜かない、心がける、懸命になる………代わりになる言葉がないわけでもないですが、ピタリと来るものが見つかりません。だからこそ誤用されているのでしょう。

漢字で書くと「拘る」です。

「拘」を使った熟語には「拘泥」以外に「拘引・拘禁・拘束・拘留・拘置・拘囚」等がありますが、いずれも好ましいものではないですね。

「職人がとことんまで拘泥して作った逸品」等と聞くと、何だか失敗作のような気がしてきます。

「拘泥して」を「こだわって」に変えても意味は同じですよ。

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